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【STAFF blog】FJALLRAVEN CLASSIC SWEDEN への道~この感動を伝えなきゃ!編③~

いつもFJALLRAVENをこよなく愛してくださっている皆様、こんにちは。
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO店長の池守隼輔です。

 

「FJALLRAVEN CLASSIC SWEDEN への道 」
~この感動を伝えなきゃ!編③~。

 

②ではスタートから3日目の夜までをお届けしました。
前回までの記事はこちらにまとめていますので、まだご覧になられていない方は是非!
https://fjallraven.jp/blogs/event/

 

では、早速。

 

8/13(火)
<アウスヤウレ~キエロン>
起床。
晴れ。
ん?晴れ?
うわぁ!!晴れ!!!!
4日目にして、ついに朝から晴れ。

 

今年の健康診断で眼鏡をかけて視力検査をしたはずなのに「今すぐ眼鏡が必要」という衝撃の診断結果が出た私の目でも、どこまでも見渡せるほど澄んだ空気。
360度に広がる絵画のような空。
憧れながら何度も眺めた写真と同じ風景。
しかし、絵の構成は同じでも、飛び込んでくる光の量と色の濃度がケタ違いです。
気温が低く吐く息は白くなりましたが、半そで短パンで4日目スタート。
寒さは感じません。
幸せだからです。

 

 

この日は18キロ先のキエロンまで。
2日目、3日目よりも距離が短く余裕があるので、大きく呼吸をしながら湖畔をまったり歩き始めます。
湖畔には蚊がたくさんいて、むき出しの腕とふくらはぎに容赦なく群がってきますが、なんにも気になりません。
幸せだからです。

 

 

途中川を渡る時、外国人の渋いおじさんが水を汲んでいました。
私はまだ水筒に半分入っていたのでそのまま進もうとすると、おじさんに呼び止められました。
「おい、小僧。」
「は、はい。」
「この先登る丘は乾いていて川が少ない。ここで水を満タンにしていくがよい。」
「は、はい!」
言われた通りに水を補充。
おじさんの言う通り、その先チェックポイントの近くまで水を汲める場所はありませんでした。
こんな素敵な助け合いもクラシックの魅力です。
おじさん、ありがとう。

 

そんなこんなで、あっという間にキエロン到着。

 

 

コーヒーとブルーベリーソースがどっぷりかかったホットケーキをいただき、キャンプ地探しです。
チェックポイントから少し戻った辺りでキャンプ地を探していると、焚き火の跡がある最高な場所を発見。
ここをキャンプ地とする!
しかし、困ったことにビールがありません。
なんと、キエロンチェックポイントには売店がないのです。
1番近い売店は、約3キロ離れたアビスコヤウレ。
ここまで散々歩いてきた上で、さらに3キロ。
往復6キロ。
しかし、ビールのためなら私はどこまでも歩きます。
バックパックはテントに置いて、小走りで、いざアビスコヤウレ!

 

 

約1時間かけてビールを手に入れることに成功しました。
そして、いよいよ楽しみにしていた焚き火タイム。

 

 

最高。
心の中でキャンプだホイを何度も歌いながら、楽しい時間を過ごしました。
夕方にはどんどん参加者が到着し周りにも人が増えてきたので、暗くなる前に焚き火は終了。
それでも十分楽しめました。

そして、この日はついに日本人参加者が全員集合。
道中追い越したり追い越されたりで顔を合わせることはありましたが、全員集合はスタート以来4日ぶり。
なぜ集合したかというと、純平さんがスタートの前日、キルナのスーパーで購入した世界一臭い缶詰めシュールストレミングの開封式をやるためです。
人が少ない河原へ向かい、いざ開封。

 

写真:鈴木純平

 

臭い!!
そして、頭がくらくらするほど塩っぱい!
しかし、食べ物を残すわけにはいきません。
みんなで力を合わせてなんとか完食。
笑ったりムセたりしながら、クラシック最後の夜は更けていきました。

 

8/14(水)
<キエロン~アビスコ>
いよいよトレッキング最終日。
快晴。
序盤2日間は雨に振られ、日を追うごとに晴れる時間が増えてきて、最後の最後は快晴。
あまりにできすぎたストーリーです。
おそらく一生分の運をすべて使い果たしたと思われます。
運がまだ余っていて、分けても良いよという方がいたら是非ご一報ください。

 

この日は朝8時に純平さんと集合。
一緒にゴールのアビスコを目指します。
というわけで、ここからは純平さん撮影の美しい写真もお楽しみください。

 

写真:鈴木純平

 

まずはアビスコヤウレに寄って、湖を眺めながらコーラを飲みます。
ここでビールを選ばなかったところに、人間としての大きな成長を感じますね。
ね。
コーラの炭酸でシュワっと身体を起こしたところで、アビスコへと続く道を再び歩き始めます。
国立公園内なので木道が整備されている場所が多く、なんとまぁ歩きやすい。
今までとは違いサクサクと進めますが、進めば進むほど、終わってしまう寂しさが押し寄せてきます。
一歩一歩を噛み締めるようにゆっくりと歩きますが、それでも少しずつ、確実にゴールへと近付いていきました。

 

写真:鈴木純平

 

残り5キロをきったところで最後の休憩。
フリーズドライのおにぎりにお湯を注ぎ、完成するまでの間に川で水浴びです。

 
写真:鈴木純平

 

冷たいけれど最高に気持ちいい。
川で洗濯をしているおばあさんに発見されるまで、どんぶらこと流されていきたい衝動にかられましたが、それはいかんのです。
この先は渓谷なのです。
おにぎりを食べて、服を着て、また歩きはじめます。
食べる前に服を着ろ!と思ったあなた!
その通り!
しかし、歩きはじめる前に服を着たところに、人間としての成長を感じますね。
ね。
少しずつ人工物が増えてきて、いよいよ終わりが近付いていることを感じます。
今までは、チェックポイントが近いことがわかると心が扇子を持ち小躍りをはじめていましたが、この日はどうも心が踊りません。

 

写真:鈴木純平

 

そしていよいよゴールへ。
先に到着してまったりしたりお酒を飲んだりしている人たちが、割れんばかりの拍手で出迎えてくれます。
映像では何度も見たことがありましたが、まさかそこを自分が歩く日が来るなんて。
そしてついにゴール!

 
写真:鈴木純平

 

涙は溢れてきませんでした。
ただ、胸のあたりがなんだか得体の知れないものでいっぱいです。
「その時の感情は言葉にすることができません。」なんて書いている記事を読むたびに「言葉にするのが仕事でしょうが!」と思っていましたが、残念ながら私もその時の感情を上手く言葉にすることができません。
なので、その時思ったことを全部書きます。

 

1、寂しいな。まだ続けたいな。
2、できればニッカルオクタ(スタート地点)まで歩いて引き返したいな。
3、こっそりいなくなって引き返したら怒られるかな。
4、ビールはどこで売っているのかな。
5、いや、ビールもシャワーもいらないから、まだまだ歩き続けたいな。

 

伝わったでしょうか。
そうです。
4泊5日のクラシックが楽しくて楽しくて仕方なかったのです。
どこか痛いところがあったりすれば「やっと終わった!」ってな気持ちにもなったのでしょう。
ところがどっこい、痛いところがないどころか、足のマメすらありません。
さらに体調はここ数年で最高の状態。
また、私の帰りを待つ人がいたならば「ようやく無事を伝えられる!」ってな気持ちにもなったことでしょう。
しかし、残念ながら私の帰りを待つ人はいません。
むしろ帰らない方が多くの人にとってプラスかもしれません。
はぁ、なんだか涙が出てきました。
……。
さて、気を取り直して続けましょう。

 

フェールラーベンというブランドを知って以来ずっと憧れ続け、ようやく歩くことができたクラシック。
クングスレーデンで過ごした5日間は、ずっと夢の中にいるような不思議な感覚でした。
身体のどこかが壊れるまで、ずっとこの生活を続けたいと思いました。

 

なんてことを思っている間も続々と参加者がゴールをして、その度に拍手喝采。
子どもが歩いて来た時は、スタンディング・オベーションです。
みんながそれぞれの幸せに浸りながら、他人の幸せに最大の賛辞を送ります。
なんて素敵な光景。
ここでようやく涙腺に込み上げてきた熱を感じながら、振る舞われたブルーベリージュースをガバガバ飲みました。

 


写真:鈴木純平

 

しかし、ここで私はハッと気付きます。
私には大事な任務があるのです。
日本に帰って、この魅力を1人でも多くの人に伝えなければならないのです。
仕方ない……。
ゴールするしかない。
クングスレーデンにグイグイと後ろ髪を引かれながら、チェックポイントで最後のスタンプを押してもらい、完歩の証であるワッぺンを受取りました。
こうして、私のFJALLRAVEN CLASSIC SWEDENは終わりました。

 

写真:鈴木純平

 

同じ時間に起きて、同じ電車に乗り、同じ場所で仕事をし、同じ時間に帰り、同じベッドで寝る。
これはこれで肯定すべき素晴らしい営みではありますが、その時間を振り返るとき頭の中に浮かぶ映像は、なぜだかいつも早送りボタンを押したような映像です。
しかし、クラシックでの日々は、その時と同じ速度、同じ光度、同じ彩度で、鮮明に脳内で再生することができます。
そのような経験、思い出がどれくらいあるかは、その人間を深くする重要な要素の一つであるような気がします。
とはいえ、今の私がクラシックを歩く前より深みのある人間になっているかはわかりません。
たぶん、なっていません。
ただ、今後そこそこの長さが残っているであろう人生を彷徨う中で、この経験が時には前へ歩む糧になり、時には決断の後押しになり、時には踏ん張る力になると確信しています。

 

さぁ、次の冒険へ。
私のクラシックは今はじまったばかりです。

 

 

はぁ??
と思ったあなた!
その通り!
これまで散々ふざけ倒しておいてこんな終わりはないでしょう。
ってな訳で、最後に110キロを歩きながら考えたダジャレを発表して終わりたいと思っていたのですが、日々色んな人に怒られる中で、なにをやったら怒られるかがほんの少しだけですが理解できるようになりました。
なので止めます。
人間としての成長を感じますね。
ね。

 

さて、多くの人にアウトドアの素晴らしさを知って欲しいと願いながら、全3回にわたって駄文をつらねて参りました。
この記事を読んでクラシックに参加したくなったという方が1人でもいたならば、私は嬉しさのあまり扇子を放り投げて三日三晩踊り狂うでしょう。

 

クラシックでは、呼吸を忘れるほど美しい景色や、無重力と錯覚するほどの圧倒的な非日常を味わうことができます。
しかし、スウェーデンまで行かずとも、日常から心を切り離すことができる自然は身の回りに数多く存在します。
ハードルが高いなと感じる人は、まずは近所の公園から。
凄まじい遠心力が身体にかかり続ける現代社会から距離を置き、アウトドアで過ごす時間を楽しむ人が増えてくれることを願っています。

 

ってなわけで、~この感動を伝えなきゃ!編~は、これにておしまい。
次回最終回は、~この感動を伝えなきゃ!アイテム編~と題しまして、今回私が110キロのトレッキングで使用したアイテムをご紹介したいと思っております。

 

では、また。