High Coast Foldsack 24 ができるまで
バックパックはどうやって商品化されるのか?
店頭に並ぶまでに何が要求されて、どのように商品テストが行われるのか?
デザイナーのNiklas Kullが、新商品 High Coast Foldsack 24 のアイデア段階から商品化されるまでのプロセスを語ってくれました。
旅やアウトドアに出かける時、パッキングされたバックパックが丈夫で信頼できるのは当然なことと思いがちです。
でも、それは、熟考され、数えきれないほどの試行錯誤の成果です。機能性やサステナビリティの基準をクリアし、
なおかつ見た目にも満足してもらうために、すべての縫製、ジッパー、素材の選択にいたるまで多くの議論を繰り返します。
今回、フェールラーベンのハードウェアデザイナーのNiklas Kullに物作りの背景を聞いてみました。
全ては、アイデアからはじまります。
「High Coast Foldsack 24 に関しては、もともとHigh Coast という暑い気候で日常使うために適したファミリー(シリーズ)がありました。
そして、このHigh Coast ファミリーをどのように改良して、新しい商品を誕生させるかに関しては、元々アイデアを持っていました」
ただ、フェールラーベンの商品化には、タイムレスでシンプルなデザイン、丈夫さ、サステナビリティと機能性という高い基準を
クリアする必要があります。
「私たちは、見た目のために縫製を足したりすることはありません。常に可動域を高めるため機能性を高めるためだけに縫い目は加えられます。
決められた基準の中で物作りを行いますが、個人的にはこのやり方が想像力を高めていると思います。そして、その中で解決策を探し、よりよい物を作り上げていきます」
The importance of selecting the right fabric
Highcoastファミリーには、デザインチームが改良してより良くしたいと思っていたモデルが元々ありました。
このモデルを進化させるために重要なポイントを見つけることからデザインはスタートしました。
「私たちは背面パネルとメインクロージャーを改良することを決め、そのために素材を変更しました。より防水性に優れ、
軽くて使いやすいものにしたいと考えました」
そのための解決策として、素材に100%リサイクルナイロンを採用しました。
裏面にPUコーティングを施し、防水性をもたせました。もちろんPFCフリーの撥水加工を加えています。
「新しい素材を採用する場合、フェールラーベン基準に基づいた摩擦強度や引き裂き強度に対しての数種類の素材テストが課されます。
そこまで強度が求められない箇所の素材に関してもテストは同様に行われます。
まずは丈夫で重厚な素材を選択してみましたが、求めていた夏使用のイメージには程遠いものでした。そのため、丈夫さの基準を
満たしつつも少し軽い素材を採用しました。結果、他社比較して最も軽いものではなく、軽量で丈夫なバックパックが完成しました。
このことは、私たちにとって非常に重要で、私たちにとってバックパックは軽いだけでは十分ではなく、同時に丈夫で環境にとっても優しいものでなくてはならないのです。すべてにおいてこの考え方が基礎となっています」
Close partnership with the factory
デザインは手書きのスケッチから始まり、それをコンピューター上に落とし込むことでよりテクニカルなものになっていきます。
このデザインの初期段階から工場のデザイナーと密なコミュニケーションを取り、ベストな形を導き出していきます。
「プロトタイプの作成の段階から工場に行きアイデアを交換します。これは必要な機能性の共有を図るだけでなく、
可能な限りシンプルな構造にしていくためにも重要なことです」また、Niklasはサンプルの生産が始まるとベトナムの工場に2週間は滞在して進行を確認します。
「この滞在は時間の短縮につながり、お互いの認識のズレを少なくできます。また、もっとも重要なディテールの調整のために
サンプルのやり取りを繰り返す必要もなくなります。滞在中、工場のデザイナーと一緒に実際の縫製まで見て確認します。
彼らの技術はとてもプロフェッショナルで一見の価値があるものです。一緒にモノづくりをしていく仲間として、いい関係を作っていくのにもこの時間は貴重です」
Prototypes and tests
デイパックの場合、アイデア段階から製品化されて店頭に並ぶまでに約2年かかります。オリジナルの企画に沿って、その特徴や機能が一つづつ加えられていきます。そして、最終的にバックル、ストラップ、カラー、補強などのすべてがデザイナーの要求を満たし完成していきます。
「High Coast Foldsack に加えられた一つの特徴が、底の部分に補強素材であるBergshellを用いたことです。
少し重くなりますが、とても丈夫なベースを持つことが出来ました。そして、サイドパネルを上部まで配置し、バックパネルで蓋をする形状にすることで、水の侵入を防ぐバックパックにすることが出来ました」
この独特な蓋をする形状のクロージャーは、水の侵入を防ぐだけでなく、必要によってはバックからはみ出るような荷物も持ち運ぶことが出来ます。
開口部をジップ式にし、その蓋部分を折り曲げてフックで留められる形状がそれを可能にしています。
「フックだけで留めることも、ジップを閉じてからフックを留めることもできます。通学用のバックとしても使えますし、テニスラケットの収納もできるのでテニスバックとしても使うことが出来ます」
デイパックは制作の早い段階からスタッフが実際に使ってチェックします。スタッフは全員、アウトドアが大好きで皆デイパックを持って外に出かけていきます。次にプロトタイプが出来上がるとアンバサダーとテスターに渡し少し長い期間テストしてもらいます。
このテスト期間が終わると、フィードバックを集め最終の修正に入ります。
「今回のバックパックは、見た目にも機能的にも満足した出来栄えとなり、皆さんに使ってもらえることを楽しみにしています。
私もこのHigh Coast Foldsackがお気に入りで毎日のように使っています」
High Coast Foldsack 24