ホッキョクギツネを絶滅から救う
スカンジナビアで、ホッキョクギツネ(フェールラーベンはスウェーデン語でホッキョクギツネの意味)は気候変動の影響により、この100年間絶滅の危機にさらされ続けています。ストックホルム大学はFjällrävenと共同で、この希少動物の研究と栄養補給を続けており、スカンジナビアホッキョクギツネに明るい未来をもたらすべく活動を続けています。
- ・スカンジナビアのホッキョクギツネを絶滅から救う
- ・不足しているえさや栄養の補給
- ・ホッキョクギツネの個体数の調査とモニタリング
- ・ストックホルム大学の研究チームをサポート
問題
20世紀の初め、ホッキョクギツネはスカンジナビアで絶滅の危機に瀕していました。その毛皮は人気の取引商品で、キツネは毎年同じ巣穴を使用するため簡単に捕獲されてしまいました。 1928年、スウェーデンはホッキョクギツネを保護種に分類しましたが、個体数が自然に回復することはありませんでした。さらに現在では、地球がさらされている脅威、つまり気候変動に直面しています。
山のツンドラ地帯の生態系は変化しています。スカンジナビアのホッキョクギツネの主な食料源であるレミングなどのげっ歯類は、冬に巣穴の中の温度を保ってくれる雪が減ることで生存率が低くなっています。また、冬に雨が降るようになったことで、その雨が凍り、生息地域に氷の層ができ、げっ歯類は食物にたどり着くことができません。これは、レミング、そして次にそれらを捕食する捕食者にとって、致命的な問題となります。気候変動によるもう1つの現象は、赤キツネが今までの生息地よりずっと北方の地域であるホッキョクキツネの生息地でも発見されるようになったことです。今日、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドで確認されているホッキョクキツネの成体は約300頭のみです。
プロジェクト
Save the Arctic Foxプロジェクトは、30年間ホッキョクギツネを研究してきたストックホルム大学のAnders Angerbjörn教授を支援する目的で立ち上げられました。彼はホッキョクギツネを絶滅から救うため繁殖活動を始めました。この活動は、不足しているえさや栄養を与える活動と、保護活動の成果を評価するために、環境データと、ホッキョクギツネの誕生から死亡に至るまでのデータを継続的に蓄積する活動の両面から成り立っています。 Fjällrävenは、ストックホルム大学の動物学部でホッキョクギツネの生態学の研究をおこなうフルタイムの研究職に共同出資しています。 Fjällrävenは、テント、夏用と冬用の耐久性の高いアウトドアアパレル、バックパック、Primusストーブなどの提供も行いこの活動をサポートしています。
この活動のゴールは、今後、気候変動により生態系がますます機能不全に陥ったとしても、ホッキョクギツネが自力で生き残ることができる個体数まで増えるサポートを行うことです。
これまでの成果
2000年ごろ、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドを合わせて確認されていたホッキョクギツネはわずか50匹でした。
今日では、スウェーデンだけでも約200匹が確認されており、これは科学的方法を使った保護活動の成果に他なりません。しかし、その年捕獲できる食料により生体数は変動します。スカンジナビアでのエサは主にレミングですが、レミングは、4年周期で繁殖するげっ歯類です。レミングの繁殖が多い年は、ホッキョクキツネは十分な食料を確保でき、エネルギーを満たすことが出来ます。反対に、レミングのいない年は、その年に生まれた子のほとんどが餓死することを意味し、大人のキツネも生き残れるのは全体の約半分だけです。このため、生体数は年が変わり新しいデータが収集されるとすぐに更新されます。
最新データはこちらをご覧ください。そして、インスタグラムアカウントはfjallravenprojektet(英語)です。
Rasmus Erlandssonは、最初はフィールドワーカーとして、後に博士課程の学生として、 Save the Arctic Foxプロジェクトに2008年から参加しています。彼は、レミングの数の変化がホッキョクキツネにどのように影響するかを研究しています。たとえば、ホッキョクギツネの生まれた子供の数と生存の可能性、そして、巣穴の状態が生まれる子供の数と一緒に住む仲間の数にどのように影響するかなどです。 Rasmusはまた、レミングを探しているキツネにとって最良の狩猟場がどこにあるか、その土地を詳細に調査する方法を開発しました。
ここスカンジナビアでの研究は、ホッキョクギツネだけを救うものではありません。この研究活動の成果は国際的なジャーナルに掲載され、世界中の保護活動に情報を共有することが出来ます。したがって、ホッキョクギツネを救う努力は、他の絶滅危惧種も救うことに繋がります。